上野動物園?多摩動物公園?葛西臨海水族園?井の頭自然文化園──都立動物園?水族園の公式サイト

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希少動物の保全、各種の取組

 都立動物園?水族園は、長い歴史の中でさまざまな動物を飼育?展示してきました。たとえばジャイアントパンダ、ゴリラ、ユキヒョウ、アイアイ、オカピ、シフゾウなどは、その一例です。こうした多様な種を長きにわたって飼育し、技術を蓄積してきたことにより、現在、さまざまな保全活動に貢獻できるようになりました。
 都立動物園?水族園では、國や行政機関、他の動物園や研究機関、NPOなどとの連攜のもと、4園で協力しながら、國內はもとより海外における保全活動にも積極的に取り組んでいます。

1.ニホンコウノトリ (上野、多摩、葛西、井の頭)

 かつては日本全國に生息していましたが、明治以降に激減し、國內に生息していた個體群は1971年にいなくなりました。多摩動物公園では中國から導入した個體が1988年に國內ではじめて繁殖し、2018年まで31年連続して繁殖に成功しています。
 ニホンコウノトリの野生復帰を目指した野外への放鳥は、2005年に兵庫県でスタートし、2015年からは福井県や千葉県野田市でも実施されています。都立動物園は、放鳥のための個體提供や飼育繁殖技術のアドバイスなどの協力をしています。
 野生復帰に関連して、上野、多摩、葛西、井の頭の各園は、全國的にニホンコウノトリの保全を進めていくために2013年に発足した「コウノトリの個體群管理に関する機関?施設間パネル(IPPM-OWS)」に參加しています。特に多摩は、域外の繁殖計畫の作成など野生復帰推進のための安定した域外個體群を確立する大切な役割を擔っています。

2.トキ(多摩)

 日本産のトキは、2003年に絶滅しました。その後、環境省は中國生まれの個體をもとに新潟県佐渡でトキ保護増殖事業を進めています。
 2007年12月、トキ保護増殖事業に協力するため、多摩動物公園では佐渡トキ保護センターで飼育下繁殖した2ペアのトキを受け入れ、飼育を開始しました。高病原性鳥インフルエンザなどの伝染病が佐渡で発生した場合に備えて佐渡から離れた場所で飼育する必要があり、トキ類飼育の経験が豊富な多摩動物公園が最適な飼育場所として選ばれたのです。
 現在、伝染病の予防などに気を配りながら、非公開施設で飼育繁殖に取り組んでいます。2008~2018年に合計56羽が生育しており、佐渡トキ保護センターに搬出しています。そのうちの多くの個體は佐渡で放鳥され、野生復帰に貢獻しています。2019年になって、環境省のレッドリストが「野生絶滅」から「絶滅危懼種IA類」に変更されました。

3.クロツラヘラサギ(多摩、葛西、井の頭)

  •  クロツラヘラサギは、2018年の調査によれば、世界で3,900羽程度しか生息していません。
     多摩動物公園では1989年から飼育を開始し、1996年に初めて繁殖に成功しました。その後積極的に人工繁殖、自然繁殖に取り組み、個體數を増やしていきました。現在は、國內外の施設へ個體を送り出す拠點となっています。また、野生下で保護された個體の受入れをおこない、4羽中3羽が飼育下での繁殖に成功しています。
     グループをつくって繁殖するクロツラヘラサギはつがい外交尾が知られており、野生生物保全センターではDNAを調べて親子判定もおこなっています。

4.アカガシラカラスバト(上野、多摩、井の頭)

 小笠原諸島だけに生息するアカガシラカラスバトは、野生個體數が500~1,000羽と推測されている天然記念物の鳥です。これまで上野動物園では「アカガシラカラスバト保護増殖事業計畫」に基づいてその飼育繁殖に取り組み、成果をあげてきました。
 2007年からは多摩動物公園、2018年からは井の頭自然文化園にも移動をおこない、分散飼育を開始。2008年には小笠原父島で、島民の皆さん、大學等研究機関、行政機関、そして國際自然保護連合(IUCN)と協力して、「アカガシラカラスバト保全計畫づくり國際ワークショップ」を開催しました。
 2001年の飼育開始當初3羽だった個體數は、2018年12月現在49羽となり、さまざまな調査研究にも取り組んできました。現在も、環境省、文部科學省、農林水産省、東京都、小笠原村、島民の皆さん、動物園、NPO法人などが連攜し、生息地の環境整備など総體的な保護活動をおこなっています。

5.ライチョウ(上野)

  •  ライチョウは、北半球北部に広く分布するライチョウ(Lagopus mutus)の種の中で、最南端に隔離分布する亜種です。高山帯に生息しており、現在の分布域は頸城山塊、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、南アルプスで、2,000羽弱にまで減少したといわれています。國の特別天然記念物に指定され、環境省第4次レッドリストでは絶滅危懼IB類に屬します。
     上野動物園ではノルウェーのトロムソ大學の協力を得て,ライチョウの飼育繁殖方法を確立するために2008年からライチョウの亜種スバールバルライチョウの飼育に取り組んできました。またライチョウの飼育繁殖技術の確立と保険個體群維持のため、2015年から環境省のおこなうライチョウの保護増殖事業に協力しています。
     2019年3月から公開展示し、ライチョウの置かれている危機的狀況と、動物園が取り組む域外保全事業について普及啓発をおこなっています。

6.ボルネオオランウータン(多摩)

 2005年、多摩動物公園に現在のオランウータン舎がオープンしました。この施設は総面積4,219㎡、放飼場4ヵ所、寢部屋が20室で、國內の繁殖基地としての役割が期待されています。2006年から2018年までに2頭の母親「チャッピー」と「キキ」からそれぞれ2頭ずつ、「ミンピー」(メス)と「アピ」(オス)、「リキ」(オス)と「ロキ」(オス)の出産があり、みな順調に成育しています。2018年末現在の飼育頭數は、10頭(オス5、メス5)です。
 また、(公社)日本動物園水族館協會(JAZA)生物多様性委員會の種保存事業の計畫として、他園館の子育てができなかったオランウータンの母子を多摩動物公園に迎え入れています。これは、母親には子育て中のオランウータンと同居することで子育て學習の機會を與え、人工哺育となった子どもには代理母に託することでオランウータンとしての生活や社會性を學ばせるもので、將來の繁殖に向けた取組みとしておこなっています。
 長壽の個體も多く、2017年9月27日に死亡した「ジプシー」(メス、推定62歳)はボルネオオランウータンとして世界最高齢で、日本動物愛護協會より功労動物賞を授與されました。

7.ツシマヤマネコ(井の頭)

 ツシマヤマネコは長崎県対馬だけに生息するネコ科の動物で、國の天然記念物です。2013年の環境省の調査によると、野生での個體數は70頭もしくは100頭と推定されており、絶滅の危険が非常に高い動物です。
 環境省のツシマヤマネコ飼育下繁殖事業は1996年から実施されていますが、2013年からは(公社)日本動物園水族館協會(JAZA)と連攜して実施體制を一層強化し、複數の飼育施設が相互に役割を分擔しながら効果的な事業運営に取り組んでいます。
 井の頭自然文化園は、2005年から日本獣醫生命科學大學と共同でツシマヤマネコに近縁なアムールヤマネコの人工繁殖の研究を行っており、2013年には人工授精によるアムールヤマネコの繁殖に成功しました。その実績を踏まえ、ツシマヤマネコの人工授精による繁殖を推進する役割を擔っています。

 また、大學や研究機関などと連攜しながら研究や情報交流を実施するとともに、展示を通じた教育普及活動、講演會やワークショップの開催を積極的におこなっています。

8.ニシゴリラ(上野)

 上野動物園の「ゴリラ?トラの住む森」は、ズーストック計畫に基づき、ニシゴリラとスマトラトラの繁殖を目指す施設として整備されました。國內外の動物園から個體の導入を実施しながら野生本來のゴリラに近い群れづくりをおこない、2000年に上野動物園としては初めてゴリラの繁殖に成功しました。
 その後も個體の導入を続け、2009年、2013年、2017年にも繁殖しています。ニシゴリラは國內では7園で飼育されていますが、繁殖しているのは3園のみです。上野動物園は國內での繁殖基地として一翼を擔っています。

9.アカハライモリ(上野、多摩、葛西、井の頭)

 かつては身近な生き物だったアカハライモリも、環境の変化によって姿を消しつつあります。都立動物園?水族園は、少なくなった東京のアカハライモリを守るため、2002年から多摩地域の生息地で保全活動をおこなっています。繁殖に必要な水辺環境を整えるとともに、モニタリング調査をおこなってきた結果、繁殖とともに個體數の増加が確認されています。
 また、飼育下でも同じ地域個體群を維持し、繁殖させる體制を整えています。さらに、保全活動の成果を活かした環境教育プログラムを地域の小學校で実施しています。

10.オガサワラシジミ(多摩)

 オガサワラシジミは天然記念物に指定されているシジミチョウの仲間で、小笠原諸島の固有種です。外來生物、特にグリーンアノールというトカゲによる捕食や、アカギなどの移入植物による植生の変化により急速に數を減らしており、現在では母島のごく限られた場所にしか生息していません。

 多摩動物公園では2005年から生息域外保全に取り組み始め、卵から蛹、成蟲までの飼育方法とメス成蟲からの採卵については、早期に技術を確立しました。最後の難関として殘った「交尾」についても2016年、園內の専用溫室を使ったペアリングにより再現性のあるペア形成?交尾方法を見出しました。2017年には累代による1年以上の継続飼育にも成功、その後も技術の改良を重ねて累代飼育法を確立しました。
 現在も、環境省、林野庁、東京都、現地NPO法人などと連攜し、生息域外保全の體制強化や生息域內の環境対策など、保護増殖事業計畫に基づき活動しています。

11.トビハゼ(葛西)

  •  東京灣は日本におけるトビハゼの生息地の北限です。かつて東京灣の灣奧部には広大な干潟がひろがり、多くのトビハゼが生息していたようです。しかし高度経済成長期の埋め立て、河川改修、護岸整備、水質汚染により生息數が減少し、現在ではトビハゼは環境省のレッドリストで準絶滅危懼種(NT)に指定されています。東京灣奧部のトビハゼ個體群は、日本の分布の北限に當たり、生息地は局所的となっています。大都市に近く、今後も生息環境の悪化が心配されます。
     葛西臨海水族園では開園當初からトビハゼを展示し、日本初の水槽內での自然産卵による繁殖に成功するなど飼育技術の確立に努めるとともに、2003年からは當園地先の人工干潟「東なぎさ」において生息狀況調査を開始しました。また、2011年からは近隣の博物館などの施設と連攜して「トビハゼ保全 施設連絡會」を発足し、毎年、東京灣全域で「トビハゼ一斉調査」を実施しています。

「トビハゼ保全 施設連絡會」による調査報告「東京灣のトビハゼのいま」

12.ミナミメダカ(多摩、葛西、井の頭)

  •  かつては東京でもたくさん見られたメダカも、今では生息地の減少や開発により、自然の水辺ではほとんど見られなくなってしまいました。
     都立動物園?水族園では、2006年から東京に生息するメダカの調査をおこなっています。これまでに都內の20を越える場所で確認されたメダカのDNAを調べてみると、他の地域のDNAが混ざったものばかりでした。
     わたしたちは、東京生まれ東京育ちの家系で、他の場所のメダカの血が混じっていないメダカを「東京めだか」と名づけ、その保全に取り組むとともに、學校での授業やイベントなどで、同じ種でも地域ごとに遺伝的な違いがありその多様性を守る必要があること、安易な放流はその大事な多様性を損なう可能性があることを、メダカを通じて伝える活動をしています。

※ 日本にすむメダカは2012年に発表された論文に基づき、「ミナミメダカ」と「キタノメダカ」の2種に分けられています。東京を含む南日本にすむメダカは「ミナミメダカ」です。

東京メダカ事情

13.小笠原陸産貝類(上野、多摩、葛西、井の頭)

  •  小笠原諸島は2011年6月に世界自然遺産に登録されました。登録理由のひとつが、100種にも及ぶ陸産貝類の進化の多様性です。しかし、小笠原の外から持ち込まれたプラナリアやネズミによる捕食などが原因で、現在はその多くが絶滅の危機に瀕しています。
     この貴重な生物を守るために、環境省からの協力要請を受けて、2017年9月から都立動物園?水族園の4園で2種の陸産貝類(カタマイマイ、アナカタマイマイ)の飼育、繁殖を開始しました。
     この取組みを通して、生息地における個體群再生事業に協力するとともに、繁殖個體の一部を展示し、來園者への普及活動もおこなっています。

リーフレット「マイマイの楽園」(PDF、約6MB)

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